能動的サイバー防御 vs. 受動的防御:違いと利点を徹底解説




近年、「能動的サイバー防御」という単語をニュースで耳にする機会が増えてきました。特に、インフラを扱う企業に対して、いち早く攻撃を感知し報告することを義務化する案が検討されています(2024年8月3日時点)。この報告義務の対象には、電気やガス、鉄道や航空など、国の基盤となる「基幹インフラ」に位置づけられている15の業種が含まれています。

能動的サイバー防御とは?

では、この「能動的サイバー防御」とは一体何を指すのでしょうか?そして、一般的なセキュリティと何が異なるのでしょうか?この記事ではその違いと具体的な手法について詳しく解説していきます。

一般的なセキュリティは受動的な防御(ファイアウォールやアンチウイルスソフト)に依存しています。これは、やってくる攻撃に対して防御を行うもので、いわば「守りのセキュリティ」です。それに対して、能動的サイバー防御(Active Cyber Defense, ACD)は、サイバー攻撃に対して積極的な防御策を講じる手法です。これを「攻めのセキュリティ」とも言えます。

能動的サイバー防御の具体的手法

能動的サイバー防御には、以下のような対応策が含まれます:

  • リアルタイムの脅威対応:攻撃が検出された際に即座に対応します。これには攻撃のトレース、攻撃者の特定、攻撃の遮断などが含まれます。リアルタイムでの対応は、攻撃が発生してからの迅速な対応が求められます。
  • 攻撃者の撹乱:攻撃者を誤導するためのフェイクデータやトラップを用意し、攻撃者が意図した情報にアクセスできないようにします。この手法は、攻撃者が真実の情報に辿り着くのを防ぎ、攻撃者の時間とリソースを浪費させることを目的としています。
  • 脅威情報の共有:同業他社やセキュリティコミュニティと情報を共有し、攻撃の手口や対策を共有することで、共同で防御を強化します。情報共有は、連携して脅威に立ち向かうための重要な要素です。
  • 攻撃の反撃:合法的な範囲で攻撃者に反撃します。これには攻撃者のシステムに対する擬似攻撃を含む場合がありますが、法的な制約が厳しいため慎重な対応が求められます。反撃の手法は国や地域によって異なるため、法的な側面を十分に理解しておく必要があります。
  • プロアクティブな脅威ハンティング:潜在的な脅威を事前に探し出し、攻撃が発生する前に対処します。これにより、潜在的なリスクを未然に防ぐことができます。

具体例と比喩

以前、サイバー攻撃について書いたブログ(警告!サイバー攻撃がビジネスになっている事実:企業が知るべき脅威と対策)で、セキュリティについて「毎秒休むことなく打ち込んでくるシュートを必死にガードするゴールキーパー」と例えました。この例えを使うとすれば、「能動的サイバー防御」は「ゴールキーパーが攻撃者の動きを予測し、シュートを打つ前にボールを奪いに行く」といったことになります。

  • 攻撃の予防:攻撃者がシュート(攻撃)を打つ前に動きを察知し、攻撃を未然に防ぐことで、攻撃が成立する前に対処します。
  • 攻撃者の混乱:攻撃者が思った通りに攻撃を進められないため、混乱を招きます。これにより、攻撃の成功率を下げることができます。
  • 反撃の機会:攻撃者の手口や意図を逆手に取って反撃します。これにより、攻撃者に対してダメージを与えることができます。

結論

いかがでしょうか?能動的サイバー防御は、従来の受動的なセキュリティ対策とは一線を画すものであり、より積極的に脅威に立ち向かうための手法です。いつの時代も攻撃と防御はイタチごっこですが、これからのセキュリティ運用はますます進化していくことでしょう。企業や個人がこの新しい防御手法を理解し、実践することで、より安全なデジタル環境を築いていくことが期待されます。

今後も最新のセキュリティ情報や対策を取り入れ、常に進化する脅威に対して準備を怠らないことが重要です。

返信がありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です